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『ファンタジーランド: 狂気と幻想のアメリカ500年史』読了

公開日: : 最終更新日:2019/06/10 書籍・雑誌

読了した。ここ最近読んだ中では最高の本だった。

ファンタジーランド(上): 狂気と幻想のアメリカ500年史
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ファンタジーランド(下): 狂気と幻想のアメリカ500年史
カート アンダーセン
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ファンタジーランド 【合本版】―狂気と幻想のアメリカ500年史
東洋経済新報社 (2019-01-18)
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GDP世界1位で、多くの優秀な人材を輩出し、先進的なテクノロジーや全世界で使われるWEBサービスが生まれるアメリカで、なんで今になって理由を問わずの中絶廃止論やインテリジェント・デザイン論、地球は平らだ説が支持を集め、年間何百件も銃乱射が起きているのに規制論が支持を得られないのか、昔からほんと不思議だった。


ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-(NETFLIX)

科学的・合理的なものと、宗教的・非合理的なものがない交ぜになっているというのは、それはそれでとてもアメリカ的な感じもするのだけど、なんでそんなことになっているのかは日々のニュースを見てるだけではぜんぜんわからなかった。でもこの本を読むとそれが少しずつわかってくる(理解はできないけど)。

アメリカ建国以前に入植してきて国民性のバックグラウンドに大きい影響を残しているピューリタンと、そこから派生しより過激・極端になっていく様々な思想や宗派たち、浸透する自由主義と加速する個人主義の中でひとそれぞれがどんな考えをもつことも認められるようになり(それ自体は良いことではあるが)それぞれの人の「真実」が同時に存在するように社会。そしてそれを後押しするテクノロジーとメディア。

なによりも優先されるのは”個人の自由”であり、政府による統制は”考えの押し付け”にあたると考える思想、そして政府は常に個人の自由を奪おうとしているという陰謀論と、その政府すら”グローバリズムによる新しい世界秩序”によって倒されるに違いないというより大きな陰謀論。どんな思想もどんな陰謀論もどれを信じるのも個人の自由だし、どれも同様に(その人にとっての)真実であり、それを否定するのは”考えの押し付け”になるので認められない、という考え方。

なによりも優先されるのは”個人の自由”、というのは素晴らしいことだけど、ここまでくるとだれにもどうにも制御が聞かないというか、事実と虚構・現実と妄想の区別をつけることができなくなってくるし、その流れを止めることもできなくなってくる。実際アメリカでは常識的・理性的な考えは体制的だと考える風潮があり、「ヒト型爬虫類」の存在とか、新世界秩序(New World Orderってプロレスか!)による陰謀論とかマンガみたいな話を信じている人が一定数(しかもそれが結構な割合)いるのだと聞くと目眩がする。だとすれば、インテリジェント・デザインや地球平面説も冗談ではなく結構真面目に信じているのだろう。まじかよ。驚きを通り越して感心してしまう。

でもインターネットとSNSの普及で、ここで描かれている「狂気と幻想」はアメリカに止まらず全世界的になったと思う。フィルタリングバブルによって「それぞれの真実」が固定化され、それがサイバーカスケードで補強されていく。アメリカで500年かかった「狂気と幻想」をこの10年で全世界に浸透してしまった。僕らは理性でそれを止めることができるのか、それともその波に飲まれてファンタジーの中で生きていくのか、今は結構重要な岐路に立っているんじゃないだろうか。

 

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