『 子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全 』 ー 良かれと思ってやってることが何一つうまくいかずに育児に悩んでいるすべての親に
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書籍・雑誌
ここ1年くらい娘との関係に結構悩んでいた。子育てにおける父親のロールはこうあるべきとか、「自分の子にはこういう人になって欲しい」という思いが強すぎるあまりにか、そう思った通りにいかないことに苛立っていたし、それがそのまま娘にきつくあたってしまう原因になっていた。「良い子に育って欲しい」と「良い親でありたい」がどうしても両立しない。
そんな悩みをどうやって解決すればいいのか…なんともなしにネットで検索していたらこの本に出会った。
子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全
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直球すぎるタイトルなので今時の自己啓発的なものをイメージしがちだけど、1980年代のアメリカで始まったワークショップをベースにしたものでものすごい普遍的な内容になっている。
育児におけるゴールをどう考えるか。僕もそうだけど親として直近の願望として、とにかく「こうして」というオーダーに応えてくれるようになって欲しい、じゃないかと思う。
「おもちゃ片付けて」
「やだー」
「じゃあオヤツないよ」
「やだー」
「どっちがいいの?」
「オヤツ食べたいー」
「じゃあおもちゃ片付けて」
「やだー」
「じゃあオヤツなし」
(以下、30分間ループ)
こんなやりとりが日に何十回もある。とにかく時間を空費するしストレスで抜け毛も増える。叱ったり脅したりして親の言うことを聞かせようとするけど、でも「ただ素直に親の言うことを聞く」だけの子に育てたいんだっけ?ゴールはそこじゃないよね、と著者は言う。そう、僕もそこはゴールじゃない。
小さい子は自分の思いを正確に伝えられるだけのスキルがまだない。でもそのスキルないけど自分の思いが無いわけではない。人しては一人の独立した人間なのだ。親の僕らはそれをちゃんと認めた上で相対しないといけない。子どもは半人前だなんて思ってはいけない。そして誰だって自分が「こうしたい」と思ったことを否定されたりしたら反発するだろう。子どもが「やだ」というのには意味がある(気分だけで理由はないかもしれないが)。それを否定して「やだじゃない、パパの言う通りにしなさい」と言えば、さらに反発が起きるし、親もその反発にさらに強い言葉や行動で返すことになれば、行く先は誰も何も得るものがない不毛な地平が待っている。
必要なことは、子どもがそう感じることをちゃんと親が認めてあげる(理解はできなくてもいい)ことで、そのためのアクションはあっけないくらいに簡単だ。簡単で、本にはケーススタディが「これでもか」というほど示されている。
あまりに簡単なので懐疑的にもなる。でも実践してみると驚くほど効果があった。本の内容を伝えた妻も最初は「いやいや、育児そんなに簡単じゃないって…ぬるいこと言うなよ」という感じだったが、僕が実践しているのを見て効果が分かったらしく今は同じようにするし、先日は「友人夫婦と一緒にこの本でワークショップやろう」というまでになった。割とすごいことだと思う。
もちろん本の通りにすればすべて解決というわけにはいかない。子どもは子どもで個性があるし親も同じで、起こりうるケースは星の数ほどある。それをすべてカバーはできない。でも人と人とのコミュニケーションの基礎は何か、親として育児のゴールはどこか、がわかれば、日々のストレスがだいぶ緩和されるし、親として「こうあるべき」という思いからかなり肩の荷が降りる。
この数ヶ月、明らかに子どもを「叱る」「怒る」ことが減った。家庭内の笑顔も増えたように思う。子どもの行く末を案じない親はいないし、子どもに苦労して欲しいと思う親もいない。でもその思いが強すぎて「どうして良かれと思ってやってるのに、子どもは親の気持ちがわかってくれないの!」となってしまう人も多いんじゃ無いかと思う。そういう人にぜひ、ほんと騙されたと思って読んで欲しい。普遍的で、実践的で、効果もすぐに出る。
良かれと思ってやってることが何一つうまくいかずに育児に悩んでいるすべての親にお勧めしたい。愛すべき家族の笑顔を見る機会が圧倒的に増えるはず。しかもKindle Unlimitedに加入していれば無料だ!
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