諏訪大社巡り(2) 上社前宮
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最終更新日:2014/08/31
旅行・地域
上社本宮から約2kmのところに上社前宮がある。この「前」は位置的や社格的な前後を表しているのではなく、歴史的・時系列的な前後ということらしい。本宮成立以前からあったもの、としての前宮。ただそれならなぜ本宮成立後にも前宮は残ったのか。前宮と本宮それぞれの役割の違いはなんなのか、その辺りが前宮にも本宮にもどこにも説明されていない。
妙に新しい正面の鳥居。上社本宮北参道の鳥居も平成15年に新たに奉納されたということらしいので同じような時期に建てられたものなのかもしれない(ちなみに上記リンクのサイトが面白くて今日はずっとこれを読んでる)。
前宮は本宮以上に敷地感覚が曖昧だ。木々の中にポツポツと祠や社があり、その周りに普通に民家や田畑がならんでいる。神社における「聖域」的な扱いがほとんどないように思う。そして人影が疎らだ。遷宮ブームに沸く伊勢や出雲、世界遺産認定されている厳島や熊野と比べても格段に人がいない。
手前の真新しい狛犬も最近奉納されたものだとのこと。
中段にある十間廊。ここでは今も重要な神事が行われるところらしい。この日は人けもなくひっそりとしていた。
十間廊脇の石段を登ると民家が立ち並ぶ場所に出る。目の前のアスファルトの坂を登った先に拝殿があるのだろうというのは感覚で分かるが特に説明がない。
その脇にある大ケヤキの根元にぽつんと祠があった。
御室社というものなのだそうだが、この御室社の説明がとても興味深い。
半地下式の土室(つちむろ)が造られ、現人神(あらひとがみ)の大祝や神長官以下の神官が参篭し、蛇形の御体と称する大小のミシャグジ神とともに「穴巣始」といって、冬ごもりをした遺跡地である。
(御室社(下十三所)《諏訪大社上社散歩道》より)
古く諏訪においては、神職の最高位は現人神であり、神は蛇の形をしていて、その神々と数ヶ月に渡って土室に籠もり神秘な祭祀を行っていたのだという。蛇神なら、三輪の大物主大神とか宇賀神あたりのイメージがあるが、ミシャグジ神は「諏訪の蛇神であるソソウ神と習合された(Wikipediaより)」ものだそうでますます分からない。本宮成立前の話しだとしても、全然神道とも関係がない。
そもそも本宮が成立し建御名方神と八坂刀売神を祀るタイミングでこのミシャグジ神と習合(?)しなかったのはなぜなんだろう。他の神社ならよくある話しだと思う。それだけミシャグジ神への信仰が厚く抵抗が強かったのか、何か他の理由なのだろうか。
前宮拝殿。華美なところはなく山を背にして鎮座している。静かに頭を下げる。
社の脇を水眼の清流が流れていた。ここのところ雨が多かったからか水量が多い。静かな聖域に水の流れだけが響く。それにしてもこの聖域の川でクルマを洗う人がいるのか…
前宮二の柱。
本殿(前宮は本殿がある)の周りをぐるっと回っている間に拝殿と本殿の扉が開きご神体が姿を見せた。低く祝詞の声が聞こえてくる。改めて頭を下げる。
諏訪大社上社の本宮と前宮ではどうも祀っている神が違うよう。表向きは同じなのだけど、ルーツというかベースが違うっぽい。それが統一しなかった理由はなんだろう、それともできなかったのだろうか。
ということで、旅行は続きます。
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