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『100,000年後の安全』 #10mannen

公開日: : 映画・テレビ

福島第一原発と放射能のニュースが流れないことがない今日この頃、会社のそばの映画館で『100,000年後の安全』がロードショーされていたので見てきました。

100000nengo

 フィンランドで作られている最終処分場『オンカロ』は、人体への影響がなくなるとされる10万年後まで閉じ込めておく放射性廃棄物の墓場。その是非を巡るドキュメンタリー。

 フィンランドの原子力発電事情は正直良く分かりませんが、劇中登場人物が言うように「すでにある放射性廃棄物の処理はやらなければならず、そこに原子力発電の是非は関係ない」は真実で、彼らの国でいろいろ議論した結果、不確実性が高い地上や、万が一汚染したときの被害が想定しづらい海底はやめて、廃棄物の再利用もせず、18億年前の地層である自国の固い地下に埋めようぜ、ってことで地下500m、長さにして5kmにもわたるトンネルを掘削。その奥に閉じ込めよう、というのが『オンカロ』プロジェクト。

 で、人体に影響がなくなるのが10万年後だというのはいいけど、この『オンカロ』が10万年も開封されずに保てるのか、というのがこのドキュメンタリーの争点。開けたら人体に影響があって危険だけど、過去の事例からしたって「開けるな!」なんて看板を立てたら余計開けたくなるのが人間だろJK、という話しから「すべての廃棄物を閉じ込めたらあとはみんなに忘れてもらう、忘れてもらうよう忘れないで伝えていく」みたいな禅問答みたいな展開になり、「伝えるのはいいけど10万年後の人類に今の言葉が通じるのか、10万年前の人類と僕らコミュニケーションできるとは思えないけど。というか6万年後に氷河期くるけど」みたいなとりとめも無い話しに流れていく。

 震災以降、僕らが置かれている現状や、これから背負っていかないといけない未来はもっと現実的で、映画では「オンカロのこういうナンセンスな議論も含めて原子力発電をどうしていくのか」という議論が進められていくのだと思っていたのだけど、残念ながらそうではない。映画の主旨はオンカロの是非であり、映画の中ではただ淡々とオンカロについてだけ語られている。原子力発電をどうするか、ではない。もちろんオンカロを語ることで原子力発電のもつ滑稽さをあぶり出す、という見方もできると思うけど、それはあまりに恣意的な見方過ぎるんじゃないだろうか。もともと時期的にも映画もそういう意図で作られていないだろうし。

 とはいえ、こういうばかばかしい議論が日本では全くされないまま(されてるところではされてるんだろうけど)原子力発電が行われ、しかも再処理までしようとしている現状を考え直す、という意味では、タイミング的にもいい映画かな、とは思います。

 見て損はないけど、なにか期待していくと拍子抜けする、という印象でしょうか。とはいえ、半年後にDVD化されたとき、またちょっと見方も変わってくるかもしれませんね。

映画『100,000年後の安全』パンフレット
森 直人 池田 香代子 和合亮一
アップリンク
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