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『彼のオートバイ、彼女の島』

公開日: : 書籍・雑誌

 今のバイク乗りの平均年齢は約45歳なのだそう。バイクブーム全盛期に20歳代を過ごした人たちが、単にそのまま20年経っても乗り続けてる、もしくは一度は降りたけどあの時の感覚が忘れられず戻ってきてる(いわゆるリターンライダー)、という状況で、新しい若い人を取り込めていない、というのが二輪業界の問題というか悩みなのだけど、それにしても20年経っても変わらず彼らを(そしてあまり多くはないにしろ彼女らも)惹きつけ続けるバイクという乗り物はなんなのだろう?と前から思ってきていた。僕もジェネレーション的にはほぼ同じなのだけど、20年前はバリバリのパソオタだったのでバイクには乗ってない。なので、そういう人たちのメンタリティーを知りたくて、きっとそういう人たちの多くがバイブルとして読んだであろう『彼のオートバイ、彼女の島』を読んでみた。

 直前に仕事の取引先の人とその話しをした際に「ただ事象が並んでるだけで何が言いたいのか良くわからず苦手な小説」と言われてやや心配だったのだけど、楽しんで読むことが出来た。一般公道を無闇にとばしたり空ぶかしするシーンは感心しないし、バイクで”決闘”とかベースになる時代の背景も今となっては読んでて恥ずかしもあるのだけど、これに当時の多くの若者が熱狂したというのはなんとなくわかる。走るのは楽しいがいろんなことが絡み合っていて面倒が多い重苦しい東京と、走れるとこは何一つ無いが陽光溢れる穏やかな瀬戸内の島とのコントラストは美しい。僕も一昨年瀬戸内をバイクで行ったけどあそこは本当に良いところだ。ミーヨの島のモデルはどこなんだろう?調べてみよう。

 小説の中でミーヨがバイクに興味を持って免許を取得し一緒にバイクでツーリングに行く、というシチュエーションも当時としては斬新だったのかもな、と思う。やっぱり「女の子はタンデムシート」というのが一般的だったのだろうし。今でもそうだけどバイク乗りの男性はバイクに関心持ってくれる女性に非常に好意を示すしね(笑)

 しかしもうそろそろあの当時から30年。キャンプ場でのコウとミーヨの性行為に至るシーンの控えめな表現で

「あのテントのなかに、二人で入れる寝袋がある。もう、寝よう。そして、やろうよ」
おどろきとも歓声ともつかない、みじかい声をあげて、ミーヨは、夜の空をあおいだ。
ぼくの両肩に手をかけ、ミーヨは空をふりあおいだまま、微笑してこたえた。
「やりたい」
テントにむかって、僕たちは静かに歩いていった。
寝袋のなかに裸で入った。眠りにつくまでのながい時間の中で交わした言葉のいっさいを、たとえば英語なら、簡単な三つの言葉に要約できる。
その三つの言葉は、
I と LOVE と YOU だ。

というのにはさすがに隔世感が・・・思わず笑ってしまいそうに・・・すいません。いやでも本当に面白かったですよ。今こういうバイク青春小説ってないんだろうなぁ。この本もすでに絶版になってるようで残念です。復刊しないかなぁ。

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5 浅田真央 VS キム・ヨナ
5 学生の戯言

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3 ニーグリップが・・・・
3 とにかく音。
5 ヤッパリ春はオートバイ
5 思い出いっぱいの映画
4 監督は言う、心意気の映画だと

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Comment

  1. にっく より:

    これ、小説は読んでいないんですけど、映画は見ました。
    何で見たんだろう?この当時、僕はバイクの免許を持っていなくて、見る要素は何もなかったはずなんですが・・・。
    角川映画の2本立てか何かだったかな。
    当時、原田知世の大ファンで、お姉さんの貴和子さんが主演してたんですよね。美人なんだけど、やぱり原田知世と印象が違っていて「顔は似ているだんけど、やっぱり全然違う姉妹だなぁ」と思った記憶がありました。

  2. kaizuka より:

    ちなみに同時上映は『キャバレー』だったみたいよ。
    http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/cabaret/
    何で見たんだろうね?
    ちなみに先日原作本をBOOKOFFで買ったら中から当時の知世ちゃんのしおりが出てきました。カワイイ。
    http://twitpic.com/143jgg
    http://www.youtube.com/watch?v=KayPqfaY8K0

  3. にっく より:

    あーそうそう、キャバレーを見に行ったんだ。
    あの頃はちょうど東京に出たばっかりで、空いている時間何して良いか分からず、映画や演劇を見まくってました。
    確か東京に来て最初に見た映画が、このキャバレーと、「ロッキー4」だったような。
    角川映画とロッキーって、今考えるとすごい組み合わせだなー。諸にテレビの宣伝の影響を受けてた感じですね。

  4. kaizuka より:

    そうか『ロッキー4』もその時代なんだ。『ロッキー4』はあの”グローブが爆発する”予告編が気になって見に行ったけど、『彼のオートバイ〜』は行ってないなぁ。
    まあでも僕も昔は「なんでこんな映画みたんだろう」とかいうの多かったよ。男二人でホイットニー・ヒューストンの『ボディガード』とか(笑)

  5. ミスター より:

    やっと本が手に入りましたか(^o^)
    片岡義男の小説は薄っぺらいところもあるけど
    バイク免許取りたての当時の僕には面白くて
    10冊くらい読みましたよ。
    映画のほうは原田貴和子のヌード目当てでしたが(^o^)

  6. まっつん より:

    ごめんなさい、片岡義男さんの本は全部持っています。^^;
    出てくる女性はみんなノビノビとしているから。
    たぶん自分の願望なのかもw
    もし興味があるようでしたら、次回は「幸せは白いシャツ」を。
    これも当時の雰囲気があって、笑ってしまうところもあるけど、
    肩肘はらないで乗っている主人公の彼女が好きです。

  7. kaizuka より:

    >ミスター
    薄っぺらいというか、たぶんその時代の空気を切り取ってるのだと思います。でも、今読んでも面白かったですよ。合間をみていろいろ読んでみます。
    >まっつんさん
    そう、ノビノビしてて屈託がないのが女性キャラとしても魅力なんでしょうね。
    「幸せは白いシャツ」、ブックオフで探してみます。無かったら貸し手ください。

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