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神に替わるもの <mixi日記に書いたものをリライト>

公開日: : 最終更新日:2014/09/19 日記・コラム・つぶやき

人生で一度はトカラ列島の悪石島に行ってみたい、と思っていた。ボゼという祭りに関心があったからだ。

ボゼの「赤土と墨で塗られた異形の面を被り、ビロウの葉の腰蓑を巻き、手首や足にシュロの皮をあててボゼに扮し、手には男根を模したボゼマラという長い棒を持つ」という風貌が、”大昔、ポリネシア・メラネシアの人たちが小さな船に乗ってここまでやって来た証なのではないか”という想像を誘い、そのロマンが魅力的だった。

ボゼ (Wikipedia)
ポリネシア 移民の流れ (Wikipedia)
ボゼ祭り

マッドメン

そんなボゼも最近はだいぶメジャーになって観光事業っぽくなり、昔の「秘祭」色も薄れてきたようなのだけど、それでもまだ今でもちゃんと島に根付いた神事であったはず(だと思いたい…)

だのに、なぜ

【日食の島トカラ】(1)世紀の天文ショー 道路にトイレ…あわただしく (iza)

 ツアー客に島を印象づけようと7月21日には「日食前夜祭」を開催し、島に自生しているヤギを捕まえて、かつて祭りのときなどに食べられていたヤギ汁を出す予定だ。島の象徴となっている身長の半分以上もある巨大仮面をかぶった悪霊を追い払う神様「ボゼ」も特別に登場させることにした。
自治会長の有川和則さん(57)は「本当は旧暦7月16日(今年は9月4日)の祭りの日以外にボゼを出してはいけない。けれど、島にいい印象を持って、また来てもらえるきっかけにしたい」と話す。

確かに島にいい印象を持ってもらって観光客が増えてくれればいい。島の生活も良くなるのだろう。しかし皆既日食のような一時的なイベントではなくボゼは島の魅力の重要なものの1つであったはず。それを安売りすることで、自分たちの神すら安売りすることで、それでいい印象を持ってもらうことに意味があるのだろうか?少なくとも僕はこれで悪石島に行きたい気持ちはだいぶ減退した。

こういう話を聞くたびに、諸星大二郎の『闇の客人』を思い出す。かつて悪霊を追い出し自分たちに恵みをもたらしてくれた神は、今は島に来てお金を落としてくれる観光客にとって替わられようとしている。もちろん人が豊かになるのはいいことだし、それを否定したりはしない。僕だって豊かになりたい。でもそれだけを推し進めることでもっと重要なことが蔑ろにされてないだろうか?一時的な流れに乗ることばかり考えるあまり、今まで自分たちが培ってきた大切な文化や信仰を溝に投げ捨ててはいないだろうか?「祭りの日以外にボゼを出してはいけない。」とわかっているならなお。

諸星大二郎自選短編集 (1) (YOUNG JUMP愛蔵版)
諸星 大二郎
集英社
おすすめ度の平均: 4.5

5 みんな ぱらいそさ いくだ!
5 自選短編集
4 寡作な作者、初の自薦短編集

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Comment

  1. takki より:

    呪いが。。。
    なんてことがあったりして。
    ポリネシアの人たちはきっと来てたんでしょうね。
    小笠原とかもすっごく気になります。

  2. kaizuka より:

    昔だったらそんなことしたら呪われたり、祟られたり、とか考えたんでしょうね。
    小笠原、いいらしいけど、遠いんですよねぇ・・・

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