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『幻影の書』

公開日: : 書籍・雑誌

 ポール・オースターの『幻影の書』、読了しました。今年は本のレビューは書かず読んだ本のログだけ残そうと思ったんですが、ちょっと感じるところもあり、blogに書いてみます。上手く書ける自信はまるでありませんが。

 徹底したリアルな描写であたかも実在したかのようなキャラクターたち、しかもそれらが歩む道のりの重さに、出だしから読み進むのが結構辛かった。主人公の状況もまた辛いし。でも中盤以降、主人公がその状況から距離を置くために見つけたこと、そこから繋がる展開が面白くて一気に最後まで読み進める事が出来た。
 そしてそこで描かれる精緻なストーリーの見事さ、主人公デヴィッド、ヘクター・マンとフリーダ、ブリジッド・オファロンとそのファミリー、ヘクターが演じた映画の登場人物たち、そして『マーティン・フロストのその内なる生』でのマーティン・フロストとクレア・マーティン、そしてアルマ。描かれるそれぞれの人生の対比と同調。

 そこに教訓も説諭もないけれど、自分に照らし合わせて考えるには充分な物語がありました。丁度いろいろと思い悩むところとシンクロしたのも、読む原動力になったかもしれません。うまくレビューすることができないのですが、少なくとも今この時期にこの作品に出会えたのは恩寵だと思っています。同じような状況の人にはいいきっかけになるかもしれないです。

幻影の書
幻影の書

posted with amazlet at 09.06.24
ポール・オースター
新潮社
売り上げランキング: 23319
おすすめ度の平均: 4.5

5 言葉というものが成しうる映像描写の極致
4 ポール・オースターの代表作
3 傑作ではあるけれど・・・
5 はて?人生とは?
4 ブルックリンの四つ角でプカリ浮かんだジタンの煙

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