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『 この世の全部を敵に回して 』

公開日: : 最終更新日:2014/09/17 書籍・雑誌

”白石一文が問う、00年代「人間失格」の書”という帯に惹かれて買ってみた本。タイトルほど扇情的でもなく、「人間失格」ってことでもなく、主人公による”死”というテーマでの独白が淡々の語られている内容でした。

一時は作家を目指したこともある知人の「死後に発見された作品」ということになっているのだけれど、著者自身による作品なのだろう。そうじゃないと巻頭の説明とつじつまがあわないような気がするし、でもそうすることによってこの短い小説に独特の味付けがされていると思えなくもない。

基本的に「主人公の主観による独白」が延々と続くので、ストーリーがあるような感じでもない。書かれている中でも言っていることに矛盾があったり、話が散漫になるところもあって全体的にはとりとめもない感じにはなってはいるが、一つ通っている話として「私の死」を軸として、果たして「私」とはなんだろうか、というあたりは面白い。

辛辣な言葉が続くので途中結構辛くなってくるけど、単に冷ややかな内容が続くだけじゃなくて、こと最後の方では結構グっとくる話しが続く。人、死、希望、愛、宗教など、主観で語られている分響く所もあって、もちろんそれも局地的ではあるから手放しでは賛同できない面もあるんだけど、今一度見直すきっかけは作れたと思う。

なので、作品タイトルや帯はひとまず無視して、落ち着いて本作を読めば得るものがあるんじゃないかなぁ、と思います。どうでしょう。

この世の全部を敵に回して (小学館文庫)
白石 一文
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