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『百鬼園随筆』

公開日: : 書籍・雑誌

 『御馳走帖』での語り口が面白かったので、あと川上弘美さんの『私の大好きな本』でのレビューもあって、手にとってみました。

 今回はテーマらしいものはなくて、雑多なお話しの数々。お金の貸し借りについての行も多いけど、総じてみな人が大らかでノンビリしている。百鬼園先生に辛辣にあたる草平大人にしても、口調はキツいけどやる事が少し抜けているところがあるし、その百鬼園先生も草平大人に大しては困ってはいるけど、そのやりとりを楽しんでいるようにも見える。

 そうやって人々のやりとりの狭間で見える当時の人たちのものの考え方や行動がすごい穏やかでノンビリしていて心地よい。人と人の距離がほどほどに近く、ほどほどに信頼関係が築かれていて、今みたいに妙にピリピリ・カリカリしていない。金貸しですらノンビリしてる。

 もちろん本の上だし、こと百鬼園先生の周りだけのこと、百鬼園先生がそう感じてるだけのことかもしれないけど、その本の中の世界は本当に好き。住みたい。

 大きな駄々っ子のようで、実際にこんな人が間近にいたら困ると思うけど、でもその物事に対しての視点と語り口は愛すべき人だなぁ、と思う。随筆集ばっかり読んできたので次は小説に取りかかってみます。

 ちなみにこの変な表紙のイラストは芥川龍之介による先生像だそうです(笑)

百鬼園随筆 (新潮文庫)
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おすすめ度の平均: 4.5

4 百鬼園先生ときては、かないませんなぁ
2 意外と難しかった
5 鼻毛がぐるぐる巻いている
5 「漱石門下では君と僕だけだね」
5 You never seen before !

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