*

『子猫が読む乱暴者日記』

公開日: : 書籍・雑誌

 98年から99年に発表された短編集。溢れるばかりの暴力は、そういえば先日読んだ新著『ニートピア2010』にもちゃんと引き継がれていて、10年近い期間このペースを維持できたというのはある意味凄いと思う(笑)。

 あれだけ『グランド・セフト・オート』が叩かれているのに(僕はスゴイ大好きなゲームなのだけど)よく中原昌也は叩かれないな、と思えるくらいの内容。だけどその過剰さと、文体の独特なリズムとが相まってかえってバカバカしく、ニヤニヤと笑いながら読めてしまう。だから好き。確かにこれを読んだからといって何が得られるとかそういうものは何も無いけど。

 「殺してやる、絶対に!」
 ヒューマニズムという名のか弱い小鳥たちが、俺の殺戮の燃え上がる情念にド肝抜かれてピヨピヨ鳴き始めた(黒ヒゲ独身寮)

 とか

 窓ガラスの上を樹木の茎のように、いくつもの小さな流れとなって広がる老人の精液。もうそれは不潔だとか異常な行為だとかいう凡人の範疇を超え、何か私にスピリチュアルなものを感じさせた。朽ち果てた土地に老人はまるで種を蒔いたかのように私には見えたのだ(欲望ゴルフ ホール・イン・ワン)

 とか。

 ただほんと続けて読んでいると心が荒みそうなので、またちょっと時間を置いて他の著作を読みたいと思います(笑)。

子猫が読む乱暴者日記 (河出文庫)
中原 昌也
河出書房新社
売り上げランキング: 78917
おすすめ度の平均: 5.0

5 絶望はひたむきに向き合うためにあるんじゃない
5 憎悪が背景にあるのになぜか心地よい小説

ad

関連記事

no image

頭のうちどころが悪かった熊の話

あまり辛い話しばかり読んでると本当に辛くなってくるので、ここらで少し穏やかな本を、ということで、買っ

記事を読む

no image

『誰かが手を、握っているような気がしてならない』

 敬愛する前田司郎の新著、読了しました。 今までの「あくまで一人の主人公による独白」というような展開

記事を読む

no image

人は思い出にのみ嫉妬する

買ったけど読んでない本がだんだんと部屋を占拠し始めている。しかもどれが未読でどれが読了なのかもパッと

記事を読む

no image

『大好きな本 川上弘美書評集』

 よく本屋で「次はどんな本を読もうかなぁ」と考えながらウロウロしている。ぼんやりとamazonにアク

記事を読む

no image

センセイの鞄

流行に乗り遅れ易いたちで、今さっき読了しました。 淡々とはしてますが柔らかく暖かいトーンで年離

記事を読む

ad

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ad

  • プロフィール写真
    2003年にブームに乗ってblogを開始、するものの生来の飽きっぽさゆえに、blogを立ち上げては消し、立ち上げては消しを繰り返し、2007年から…。→続きを読む
    follow us in feedly
PAGE TOP ↑