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『ミスト』

公開日: : 映画・テレビ

 ”一番好きな映画”としてあげる人も多い『ショーシャンクの空に』の原作スティーヴン・キング、監督フランク・ダラボンのコンビニよる本当に怖い映画『ミスト』、見て来ました。

 以下、ネタバレ。これから見る人は見ないこと。

 身近な幸せな家庭に襲いかかる、唐突で理不尽な恐怖。スティーブン・キングの本領発揮という感じでしょうか。それを数々のモンスター映画の脚本を書いてきたダラポンの手に寄ってストーリーは精錬され、単なるモンスター映画で終わらない内容になっています。

 ストーリーは諸星大二郎の書いたマンガのよう。軍によって開けられてしまった「異界の窓」、そこから霧と供にこの世界に流れ込む異形のモノ。自分の手すら見えない濃い霧の中を跋扈するそれら異形のモノにまったく理不尽に無惨に惨殺されていく人たち。いつ晴れると知れない霧におびえながら、閉じ込められたスーパーマーケットの中で消耗し狂信家に煽動される人たち。そして、恐怖と戦いながらも現実を認識し、戦い、最善を尽くしても、それが決して報われるわけではない、ということを突きつける主人公が辿った末のエンディング。

 いろんなインタビュー記事やレビュー記事を読んで、久しぶりに期待出来る作品だと思ってはいましたが、それ以上、本当に面白い映画でした。「異界」の設定は今時ちょっと笑っちゃうくらいチープな感じもしますが、そのお陰でかえってスーパーマーケット内の人間たちがクローズアップされ、自在なカメラワークと相まって、極限状態の集団の恐怖があぶりだされる感じになっていて、それが本当に怖かった。煽動する狂信家が額を打ち抜かれたとき、本当にガッツポーズしてしまった。またハッピーエンドが常だったハリウッド映画で、最近特にこんな「徒労」「虚無」なエンディングが増えたのは、今のアメリカの状況を表しているのか、それとも単にアメリカ人がハッピーエンドに飽きただけなのかはわかりませんが、僕の中ではまたひさびさにグっとくる終わり方でした。

 それにしても設定にしろ、異形のモノの造形にしろ、諸星大二郎好きはかなりハマる映画じゃないかなぁ、と思う。あとSTUDIO VOICE6月号に町山智浩氏による監督インタビューがあるのでそちらと合わせると映画がより一層面白くなると思うので是非。『クローバー・フィールド』にしろ今年はモンスター映画の当たり年だね、いいことだ。

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