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『クレィドゥ・ザ・スカイ』

公開日: : 書籍・雑誌

 8月公開となる『スカイ・クロラ』を前に、最終章(?)の『クレィドゥ・ザ・スカイ』文庫版がリリース。『フラッタ・リンツ・ライフ』読了からちょっと日にちが開いてしまってアレだったんですが、早速読みましたよ。

 今回もキルドレの1パイロットの主観のみで話しは進む。ただ前作たちと違って他者との関わりが極端に少ないので、主観となっている人物がほとんど見えてこない。主人公は治療による薬物の影響なのかどんどん関わってきた他者の名前を忘れていってしまうのだけど、あたかも自分の名前、存在すらどうでもいい、と言うかのように、個としての主人公は消滅して、ただ「空に上がりたい」「上も下もなく、何にも触れてない世界に行きたい」と願う人として描かれている。

 その反動で、最後のドッグファイトは(結局味方を撃ち落としてしまうことになるのだが)主人公の気持ちなどどこにも書かれていないのだけど、その嬉々としてして飛んでる様が(そして撃ち落としている様が)、主観故にものすごく溌剌と描写されていて、読んでいる方まで高揚してくる。

 結局、この世界に関することは多くを語られないまま、キルドレたちの詳細もサガラアオイとともに伏せられたまま、最後ソマナカのセリフをもって、ストーリーとしてはグルッと一周してまたふたたび『スカイ・クロラ』に戻る。

 通して思ったのはキルドレの不自由さ。自分に興味があること以外にまったく関心を示さない、大人になれない子供と書かれている彼らは確かに好きなことしかやっていないのだけど、その狭い世界に生きる息苦しさは読んでいて辛い。世の中、大人になりたくない子供(または大人になりたくない大人)が多いみたいだけど、やっぱりああいう世界は子供の頃の短い期間だけだよな、と僕は思うけどどう?

 話し変わって気になるのが映画の方。予告編を見る限りちょっとウェットな感じがするんだけど大丈夫だろうか?

クレィドゥ・ザ・スカイ
森 博嗣
中央公論新社
売り上げランキング: 16203
おすすめ度の平均: 4.5

4 シリーズ最終巻 スカイ・クロラへと話は戻る
3 あいかわらず
5 飛行機のこと
5 間違いなく傑作
5 現実とは?

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