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『 天国遊び 』

公開日: : 書籍・雑誌

 野呂重雄の『 天国遊び 』、読了しました。友人から借りた大量の諸星大二郎マンガの中に混じっていたハードカバー本で予備知識なにもなかったですが読んでみました。

 丁度僕が生まれた年辺りに刊行された「非行」をキーワードした短編集。まだ「戦後」が色濃く、学校という狭い環境の中でで思想や社会や経済的な問題に教師と生徒がもがいている、そう時代の話しがまとめられている。まあ「そういう時代」ですよね。もう僕が学生だった時代(この小説の10〜15年後ですが)はもう学校の中に右とか左とかの思想・主義的なものは無くなっていたし、そういう主張をする団体も影を潜めつつあり、あったとしても生徒の方もそういう主張をする人たちに冷ややかだった。総中流化の時代でもあったし、この本で描かれている世界もやはり「一昔前」なのだな、と思う。

 それにしても、まだこの時はいろんな息苦しさから抜け出すのに、「非行」というかたちで社会に対して拗ねてみせていたよね、と思う。もうこの後はもう社会に対して抗うことも無くなって、もっと狭い世界で「いじめ」という形で憂さ晴らしをするだけになるんだけど。

 あとこの中で語られる将来の社会の姿が、意外と近い形で今に繋がっているのは、これはやはり著者の力なのかなぁ、と思う。登場人物の声を通してちゃんと見通している、その世界観が良いのか悪いのか、はまあまた別な話しとして。

 文体や描写の仕方や言葉選びがちょっと苦手ではありましたけど、今まで読んでこなかった方向の話しだったので面白かったです。貸してくれた人、どうもありがとうでした。

天国遊び 新装版
天国遊び 新装版

posted with amazlet on 08.03.08
野呂 重雄
一ツ橋書房 (2000/00)
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