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『 富士日記 』

公開日: : 最終更新日:2014/09/17 書籍・雑誌

約一ヶ月かかりましたが武田百合子『 富士日記 』、上・中・下、読了しました。

昭和39年から途中2年の中断を挟んでの12年の日記。今でならブログ本と言ったところですか。ただまあこの日記は最初から公開(出版)されることを前提に書かれてはいませんが、その分その選ばれていない言葉使いの素直さが独特な雰囲気を醸し出している。

内容的には、最後で著者自身の回想で述べられているように、夫である武田泰淳に「その日に買ったものと値段と天気とでいい。面白かったことやしたことがあったらそのまま書けばいい。日記の中で述懐や反省はしなくていい。反省の似合わない女なんだから。反省するときは、ずるいことを考えているんだからな。」と言われたのもあってか、本当にその日に買ったものとその値段、天気が淡々と語られているのですが、その合間合間に出てくる作家仲間たちとの話し、山荘とその周りの情景、富士山を包む空模様、そしてその富士の周りに住む人たちの話しが、その時代を背景に描かれていて、それがとても面白い。特に昭和40年前後の人たちのおおらかさ、泥臭く、ガサツだけれど、でも暖かみのあるやりとりは、これってもう随分前に失ってしまった世界で、僕は昭和44年生まれだけれど、生まれた時はまだこういう世界が残ってたんだなぁ、と思うとまたちょっと不思議な気持ちになる。

その日記の中でも確実に時間は流れ、国道246号が整備され、東名高速、中央道が開通し、メキシコオリンピックや大阪万博も会話の中で登場し、一人娘は成長をし、夫は病に倒れ衰え気弱になって行く様が刻々と刻まれていて、そこから著者自身の心情がうっすらと滲みでてくる。特に後半の夫が倒れてからの話は結構読んでいてつらかった。ただそれを一つの形としてまとめて読む、時間の流れを捉えてみる、というのは、だから日記というのはどんな形でも書いていくのは凄いいいことなんじゃないかと思ってもみる。だらか僕もこのblogは少し頑張って続けてみよう。出来るだけ。

ともかく無事読了。武田百合子を読んでるよ、と言ったら『犬が星をみた ロシア旅行』を貸してくれた友人がいるので次はそれを読もう。ただ、この一ヶ月でだいぶ積読リストが増えたのでそれも消化しないと。

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