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『 ペルセポリス 』

公開日: : 最終更新日:2014/09/17 映画・テレビ

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思えばイラクのことはいろいろ調べたけど(湾岸戦争からフセインの凋落あたりまで)、イランのことはあまりよく知らないまま来ていたのに気がついた。イラン・イスラム革命前の王制の時代はまったくわからないし、今の状態もアフマディーネジャードの発言しかりイスラームという宗教を見ても僕にとってはエキセントリックにしか映らなくて、いわゆる一般的なイランの人たち、市井の人たちの世界にはまったく関心がなかった。

で、『 ペルセポリス 』。

王制の崩壊、それに悦ぶ両親を尻目に起きる宗教革命。娘の身を案じた両親の意向でオーストリアに留学する主人公マルジャンの、自身が経験したヨーロッパでの違和感(決して相容れない価値感、平和なヨーロッパでのファッションとしてのアナーキズムと、彼女の出自に対する好奇な視線)と、やがて戻ってきたイランでの息苦しい日々を、グレーすら排した白黒コントラストが美しいアニメーションで描いている(ベースのグラフィックノベルそのままを映像化してるから?、でも素晴らしい)。

とにかく、知らなかったイランの人たちの生活描写が興味深い。普通にハリウッド映画を見たり、劇場では『ゴジラ』がロードショーされていたり、若者は隠れてパーティーを開いて踊り、酒を飲み、人が死に、恋愛をし、結婚をして、別れている。

戦争や 抑圧された社会の中で痛ましいことも多い(こと処刑される女性のエピソードとか)中で、リベラルな家庭環境で育ったマルジャンの悩みは、こういうのはどこも変わらないのだと思うとちょっと安心はする。それが家庭環境によるものなのか、イランでは比較的一般的なことなのかはわからないけど。こと主人公のおばあちゃんの(僕がイスラームの女性に抱いていたイメージを掻き消すような)男前具合にはちょっと感動した。そうか、こういう考えの女性もちゃんとイスラームはいるんだ、という安心というか。そういうのは日頃覆い隠されているから見えてこないのだろうけど(ヒジャーブをしてると感情まで見えなくなる気がする、そういう意味では効果あるんだなぁ、とか)。

ともかく、あまり予備知識ないまま見ましたけどすごい面白かったです。エンディングを思うと単純に面白がるのもなんですが、あまり知らなかった人たちの生活とか、そういう人たちもまた本当に普通なことの中で悩み・生きているんだな(戦争や宗教は別として)ということを知れたのは良かったと思います。ちょっと原作にも手を出してみます。

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Comment

  1. takki より:

    原作、私も気になってます!
    映画は、映画用にストーリーを整理したとパンフには書いてあったから、もっといろんなエピソードがあるのでしょうね。
    ママが、結婚式で「もっと自立する子だと思ってたのに」
    って泣くのが印象的でした。あそこの家は特別かもしれない。
    感想教えてください。

  2. kaizuka より:

    原作読んだらまたレビューしますね。
    やっぱりあの家が特別なのかもしれないですね。もしくは宗教革命前のイランはそういうカルチャーだったのかも、という気もします。どうなんですかね。

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